世界で「サステナブル」や「SDGs」への関心が高まるにつれ、ファッションをはじめとする生活に欠かせない領域において、地球環境への影響を考慮した取り組みが増え続けています。
「するーぷ」もそんな取り組みの1つですが、今回のコラムでは「洋服とサステナビリティの本当の話」の後編をお届けします。(前編はコチラから)
ウールは本当にサステナブル?意外に深い、環境問題との関わり
日本の冬には欠かせない、「ウール(羊毛)」。ウールは皆さんもご存知の通り、保温性が高いだけでなく通気性に優れているため、寒い時期に大活躍します。
一般的にウールは「サステナブルな素材」といわれていますが、その理由としては、①自然(天然)素材である ②耐久性があり、長持ちする ③廃棄後は土壌に含まれる微生物により、生分解される などが挙げられます。ちなみに2022年に日本毛織株式会社がおこなった実験では、ウールは海水中でも生分解されることが明らかになりました。
しかし、環境への負荷を考える際に忘「ライフサイクル全体で見ること」も忘れてはいけません。ライフサイクルとは生物や製品などが、生まれてから終わるまでの一連のプロセスを指します。
ウールにおいては、羊の飼育に伴って排出されるCO₂・水の使用量なども考慮する必要があるということです。
(出典:サステナビリティハブ「何を選ぶ?どう捨てる?衣服とサステナビリティの本当の話 | サステナビリティ ハブ (sustainability-hub.jp)」)
上図は、ウールの生産~廃棄までのライフサイクルと環境負荷を表した図です。「羊を育てる過程→洋服をつくって廃棄されるまで」においては、多段階でCO₂の負荷・水質汚染に係わっていることが分かります。
そのため現在では、「再生ウール製品」という既存のウール製品をリサイクルしたアイテムも生産されており、サステナブルの観点から需要が高まっています。
「リサイクル繊維」の課題
最近では、大手アパレルブランドが「リサイクル素材から作られた服」をテーマにアイテムを展開するなど、資源を再生した洋服づくりが積極的におこなわれています。
リサイクル素材の1つには、私たちの生活に身近なペットボトルがあります。ペットボトルの原料は「ポリエチレンテレフタレート」というプラスチックで、これはポリエステル系に分類されます。そのためペットボトルは、「ポリエステル繊維」として再利用することができます。
一見するとこれは、サステナブルな循環のサイクルが成立しているようにも見えます。しかし、実はまだ解決すべき課題があるんです。
- 現在のペットボトルの回収量では、流通しているポリエステル繊維のすべてをリサイクル繊維へ置き換えられない
- リサイクル繊維で作られた衣服を着古したあとは、さらに繊維商品へリサイクルすることは技術的に難しい場合が多い(→廃棄するしかない)
つまり、繊維における循環サイクルを完成させるためには、さらなる技術開発が期待されているといえます。
さいごに
今回は、「洋服とサステナビリティの本当の話」について解説しました。
“ちょっといい”ことを習慣にする衣類回収サービス「するーぷ」は、神戸市内の複数の場所にて開催中です(※詳しくは、ホームページトップの「するーぷできる場所」からご確認ください)。衣類を回収ボックスに持ち込んだあとは、その重さに応じたポイントが付与され、クーポンや寄付と交換することができます。不要になった洋服を”ちょっといい”方法で手放してみませんか?
このコラムは、サステナビリティ ハブ編集部の協力のもと作成しております。「サステナビリティ ハブ」では、SDGsにまつわる基礎知識から、プロフェッショナルなコンテンツまで幅広く発信しています。ぜひご覧ください。
参考記事:何を選ぶ?どう捨てる?衣服とサステナビリティの本当の話 | サステナビリティ ハブ (sustainability-hub.jp)