連載最後の今回はワコール特集のvol.3として、サステナブル消費と、ワコールの取り組みを紐解いていきます。
サステナブル消費とは

皆さんは「サステナブル消費」という言葉をご存知でしょうか?
サステナブル消費とは「環境や社会に配慮した買い物や消費行動のこと」ですが、大量生産・廃棄が問題視されている近年において、注目を浴びている言葉です。
では実際にどのような行動が「サステナブル消費」に当てはまるのか、具体例を交えながらわかりやすく説明します。
1.質の良いものを長く使う
昨今は、日用品や衣類をはじめとする様々なものがプチプラで買える時代ですよね。店頭やインターネットでは「え?この値段でこれが買えるの?」と驚くこともしばしば。その結果、私たちは自然に「高くないから試しに買ってみよう」「安いし、もし自分に合わなくても仕方ないかな」などと、”買い替え前提の消費”をしているかもしれません。
しかし、この何気ない選択が地球環境の負荷に繋がっていることを意識する人は、どのくらいいるのでしょうか。
環境省が掲げる「3R」のうちの1つ「リデュース」は、【廃棄するもの自体を減らす】というアクションです。つまり長く使える製品を購入し、大切に使う行動が推奨されているんです。そしてこの実現のヒントは、「質の良いものを手に入れる」が見逃せないポイントです。買うときに「少し高級かも…?」と思っても、丈夫で長い間愛用できる質の良いものを選ぶ行動は、環境のため、ひいては未来の子どもたちのためにも繋がるアクション。地球規模の課題に直面する私たち1人1人が、日々意識したいポイントですね。
2.リサイクル・リユースできるものを購入する
長く使えるもの以外に「リサイクルやリユースができるものを買う」というアクションも、サステナブル消費の1つです。私たちは日々、様々な商品を購入しますが、その際に「使い終わったあとの行方まで」を想像してみること。これが持続可能な社会づくりにつながるというわけです。
環境省では、資源は有限であることを前提に、できるだけ無駄なく使い切る「循環型社会」の必要性を示しています。それには繰り返し使用する「リユース」や、資源として再利用する「リサイクル」が必要不可欠です。ゴミの量が減るだけでなく、新たな資源を採掘/加工するエネルギーやコストを抑えられるメリットもあります。循環できるものを自ら選んで買う行動は、資源やエネルギーの節約にもつながっているんですね。
私たちができる具体的な取り組みとしては、詰め替え用がある商品やリサイクルマークがついている容器を選ぶ、また、再生素材が使われているかどうかのチェックなどです。
リユースにおいては、使い終わったジャム瓶や調味料の空き瓶を別の用途で再利用したり、新しい本を買うのではなく、図書館を活用することもおすすめのアクションです。
3.地球や環境にやさしい商品を選ぶ
商品を購入する際、価格や見た目、使いやすさなどを基準にしている人は多いかもしれません。しかし実は「商品がどこで、どのようにつくられたか」までを意識することも、サステナブル消費につながる大切な視点のひとつです。
地元でとれた野菜や食材を選ぶ「地産地消」は、長距離輸送などによるCO₂の排出を抑えるだけでなく、地域の農家や生産者を支えることにつながります。環境にやさしい素材を使った洗剤や紙製品は、使用後の水が汚れにくいもの、ゴミとしての影響が少ないもの、さらに製品によっては使った後の水が生態系に影響を与えないレベルになるなど、自然への負担を減らす選択ができる社会になりつつあります。
また、「フェアトレード」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
フェアトレードは発展途上国で作られた原料や製品を、適切な価格にて購入することです。生産者の労働環境や人権に配慮された商品を選ぶことも、誰かの暮らしを守る行動になります。こうした視点は、消費者庁が推進する「エシカル消費」にも含まれており、社会/環境への配慮をともなった選び方として注目されています。
【大解剖】ワコールの商品が安全・安心で長く愛される理由

ワコールでは、 ISO9001(品質保証のための国際基準)の考え方をベースとした「顧客満足」や「品質保証」を目的とした品質マネジメントシステムを運用するなど、品質管理に一切の妥協を許さないものづくりがおこなわれています。(引用:WACOAL HOLDINGS CORP「品質と安全」)
そこでここからは、ワコールの商品が安全・安心と共に長く愛される理由を紐解いていきます。前章で解説した「サステナブル消費」との繋がりはどこか?という視点を持って読み進めると、より一層楽しめるかもしれません。
生産前から、150項目以上のテスト・チェックがされている
多くの女性に長く選ばれているワコールには、見えない部分にまで行き届いたものづくりの姿勢があります。
インナーウェアは、企画から生産に至るまで、素材の選定や着用試験、試作などといった複数の段階を経て丁寧に作られています。さらに本格的な生産に入る前には、なんと150項目以上のテストやチェックが実施され、構成パーツや完成品に対しても、それぞれの機能に応じた評価がおこなわれています。
つまり、安全性や耐久性、取り扱いやすさ、着心地、見た目の美しさ…など、多角度な視点からの確認をしっかりと着実に重ねることで、「品質の確かさ」が支えられているんですね。
安心を形にするための徹底したルールや管理体制がある
裁縫の現場では、ハサミや針といった鋭利な道具を扱うため、日々の作業において高い安全意識が求められます。
たとえばハサミは裁縫担当者の名前をつけたうえで決められた場所に保管し、使用後はすぐに定位置へ戻すことが習慣づけられています。また、ミシン針が作業中に折れてしまった場合には、全員がすぐに手を止め、目視はもちろんのこと、磁石を使用して小さな破片を見落とさないように探し出します。そして集められた針の断片は「折れ針復元ツール」で、欠けた針同士の断面を合わせ、元通りの形に完全に復元されるまで、作業は再開されないほどの徹底ぶりです。針の混入は製品の安全性に関わる問題であるため、わずかな破片も見逃さない体制が整えられているんです。
さらに万が一に備えて、ミシンには飛散防止ガードが取り付けられ、製品出荷前には検針機による最終確認もおこなわれています。
製品のほとんどは「手作業」で作られる
皆さんは、1枚のブラジャーにはどのくらいのパーツが使われていると思いますか?
ワコールではなんと、「40以上」の多様な形の小さなパーツを組み合わせてブラジャーが制作されているんです。しかもそれは、ほとんどが手作業。1つ1つが”人の手”によって縫い上げられている理由は、手作業でないと美しく縫い合わせられない繊細なパーツが多いからなんだとか。
女性のからだを研究しているワコールだからこそ分かる「究極のバランス」を叶えるためには、1ミリの狂いなく縫い合わせる”熟練した技術”が必要なんですね。からだのラインに沿った快適なつけごこちを追求するために、人の想いがしっかりと込められています。
最終検査は「人の目」によってくまなく実施される
安全・安心を多角度から守っているワコールですが、もちろん出来上がった後の製品に対しても徹底した検査をおこなっています。たとえば、ブラジャーにおける検査項目数は25にも及び、ここでも機械ではなく「人の目」で、縫い目の数や縫われ方などを細かくチェックします。
そんな厳しい検査をクリアした逸品だけが私たちのもとに届くことからも、ワコールが「高品質」と称される理由が垣間見えます。
【3選】ワコールのサステナブルな取り組み
ではここからは、不用なブラジャーの回収など、ワコールが積極的におこなっているサステナブルな取り組みをご紹介します。
乳がんで苦しむ人や悲しむ人をなくすために:ブレストケア活動
皆さんは、乳がんに対してどのくらいの意識を持っていますか?
乳がんの罹患率は年々増加しており、国立がん研究センターのデータによると女性の9人に1人が発症するといわれています。(出典:国立がん研究センター「最新がん統計」)
こうしたなかワコールは「ブレストケア」活動をおこなっています。これは、乳がんの予防・検診の推進や、患者や家族の支援、そして乳がんにまつわる知識の普及を目的としています。

10月は、WHOやアメリカがん協会(ACS)が定めたことから「ピンクリボン月間」とされていますが、ワコールでは10月に「ピンクリボンキャンペーン」をおこないました(2024年)。
店舗で下着の採寸・試着をすると1人あたりにつき10円が、またウェブストアで商品を購入すると件数1件あたりにつき10円が、ワコールからピンクリボン活動団体(公益財団法人日本対がん協会 、認定NPO法人乳房健康研究会、認定NPO法人J.POSH)に寄付されます。2024年の寄付総額は2,565,420円でした。(出典:ワコール「ワコール『ピンクリボンキャンペーン2024』報告 総額 2,565,420円を支援団体に寄付しました」)
ほかにも「リマンマ」という、乳房を手術した人のためのインナーウェア・水着などを取り扱うブランドも展開しています。商品はカテゴリーからだけでなく「術後の時間経過や術式の種類」によって探すこともでき、様々な工夫が施されているのもポイントです。
乳がん検診の機会を:乳がん検診サポート事業
厚生労働省では、がん検診の受診率60%以上を目標に掲げて「がん検診」を推進しています。そんな中ワコールでは2009年10月から、「乳がん検診サポート事業」を開始しました。 これは、乳がん検診事業をおこなっている医療機関(医療法人社団プラタナス イーク)に検診車を貸し出して支援する取り組みです。検診車の名前は「AIO(アイオ)」。より多くの女性に愛を届けるという意味が込められているそうです。

検診車は、マンモグラフィーなどの検診機器を搭載しており、全国の健康保険組合・企業の集団検診を中心とした活動が広げられています。
株式会社ワコールホールディングス|パートナー企業・団体の取り組み|パートナー企業・団体|がん対策推進企業アクション
製品廃棄率ゼロへ:在庫を残さない仕組みづくり
サステナブルな取り組みを積極的におこなっているワコールでは、「製品廃棄率ゼロ」が掲げられています。この目標を達成するべく構築されているのは、廃棄を出来る限り少なくする「在庫を残さない仕組みづくり」です。
その結果、ワコールにおける製品廃棄率(生産数に対する廃棄数)は約1%と、低い数値を実現しています。(出典:ワコール「消費者と地球にやさしい事業活動の推進」)
いかがでしたか?
サステナブル消費への取り組み方や、「質の良いものを長く使うこと」の良さ、さらにはワコール製品が長く愛されるヒミツを知れたコラムだったのではないでしょうか?
ワコールでは専門のビューティーアドバイザーが無料で下着の相談や採寸をおこなっています。こちらからぜひチェックしてみてください。
●ワコール公式ホームページ https://www.wacoal.jp/
●ワコール公式通販 「WACOAL WEB STORE」
さいごに

“ちょっといい”ことを習慣にする衣類回収サービス「するーぷ」は、横浜市内の複数の場所にて開催中です。衣類を回収ボックスに持ち込んだあとは、その重さに応じたポイントが付与され、クーポンや寄付と交換することができます。不要になった洋服を”ちょっといい”方法で手放してみませんか?
今回も「するーぷコラム」をお読みいただきありがとうございました!