今回のコラムでは「洋服のリサイクル(以下、繊維リサイクル)」に注目し、その手法や特徴を解説します。
繊維リサイクルは、おもに「マテリアルリサイクル」・「ケミカルリサイクル」・「サーマルリカバリー(サーマルリサイクル)」の3つの手法に沿っておこなわれることが多いとされています。
1.マテリアルリサイクル
マテリアルリサイクルとは、捨てられた物の性質を変えないまま、それを「リサイクル品の原料」として有効活用する方法です。
代表例にはペットボトルのリサイクル(※ペットボトルが再度ペットボトルへ生まれ変わること)があり、また繊維製品の廃棄物においては、雑巾やウエス(※工場で機械の掃除などに使用)・自動車の防音材などに使われるケースが多いです。
マテリアルリサイクルのメリットは低コストでリサイクルがおこなえる点ですが、リサイクル品の質が不安定な場合があり、この点がデメリットといえるでしょう。
リサイクルの工程は比較的シンプルですが、不純物・染料の除去などといった複雑なプロセスには対応しづらく、マテリアルリサイクルの特徴の1つとされます。
2.ケミカルリサイクル
ケミカルリサイクルとは、捨てられた物の素材を分解したのち、それをもとに製品を作る手法です。
回収された化学繊維(ナイロンやポリエステルなど)は、他の物質に変換、または、原料としてそのまま有効活用されています。
ケミカルリサイクルのメリットは、工程において異素材を除去することで得られる「リサイクル品の質の高さ」です。しかし、リサイクルのプロセスは複雑であるため処理のコストが高い傾向にあり、デメリットの1つといえるでしょう。
3.サーマルリカバリー(熱回収、もしくはサーマルリサイクル)
サーマルリカバリー(熱回収/サーマルリサイクル)とは、「衣類と廃棄物を焼却した際に発生する熱」を有効活用する方法です。具体的には、発電・電力供給や地区暖房などに利用されています。
そのほかには、衣類から金属などを取り除いた後、焼却せずに他の廃棄物と混ぜて固形燃料にする場合もあります。
サーマルリカバリーのメリットは、受け入れる原料への制限が少ない点です。しかしEUでは、この方法は「廃棄物は循環(サイクル)しておらず、消費に着地点がある」という点から、「リサイクルの一種」とは見なされていません。サーマル”リサイクル”ではなくサーマル”リカバリー”として差別化されつつあり、今後は衣服の焼却は可能な限り減らすことが求められています。
さいごに
今回は、「繊維リサイクルの技術」について解説しました。
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このコラムは、サステナビリティ ハブ編集部の協力のもと作成しております。「サステナビリティ ハブ」では、SDGsにまつわる基礎知識から、プロフェッショナルなコンテンツまで幅広く発信しています。ぜひご覧ください。
参考記事:繊維リサイクルとは?方法や日本・海外の現状、最新技術を分かりやすく紹介|サステナビリティハブ (sustainability-hub.jp)